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突然ですが、短編小説を思いついたので、良ければ読んでってください。 それではどんぞ。 「ぼくのなまえは、”ぶる”」 作:ラモン河谷 ぼくのなまえは、”ぶる” この家に来たとき、小さかったぼくに、ご主人様が、名付けてくれた。 ぼくの首には、”ぶる”とマジックで書かれた、ネームプレートがある。 ご主人様が、書いてくれた。 ぼくの、宝物だ。
この家にきたとき、ご主人様は、毎日遊んでくれた。 毎日、おさんぽに、連れてってくれた。 公園で、ご主人様と、駆けっこするのが、一番楽しかった。 夜は、ご主人様のベッドの下で、寝ていた。 温かかった。
しばらくして、ご主人様が、あまり遊んでくれなくなった。 散歩にも、連れて行ってくれない。 なぜだろう。 夜中に吠えたことを、まだ怒っているのだろうか。 もうしません。 さらにしばらくして、ぼくは、家の外に鎖で繋がれることになった。 最近、ご主人様は、ぼくと目を合わせてくれない。 なぜだろう。 夜になると、無性に寂しくなった。 木の小屋の床が、冷たかった。 また、散歩に行きたいな。 家のなかで、眠りたいな。 その後、ご主人様が、新しい犬を連れてきた。 やわらかい栗色の毛の、小さな犬だ。 その小さな犬は、ご主人様に抱っこされて、一緒に家に入って行った。 僕は、入っちゃいけないのかな。 なぜだろう。 でも、ご主人様は、とても嬉しそうだ。 数年後。 もう、最後に散歩に行ったのは、いつだったかな。 覚えてない。 ご主人様は、ご飯は、もってきてくれる。 毎日、近寄ろうとするけど、鎖で届かない。 ぼくを見ない。 笑ってくれない。 いつから、こんなことに、なったのかな。 最近、ぼくはおかしい。 立ち上がろうとすると、腰がしびれる。 ご主人様が、ご飯を持ってきても、近寄れない。 でも、ご主人様は、ぼくを見ない。 疲れた。 もう、目を開けていられない。 きっと、もう、最後だ。 ご主人様に、会いたいな。 最後に、ご主人様を、目いっぱい呼んでみよう。 もしかしたら、来てくれるかも。 ”ぶる”とかかれた、ネームプレートが、揺れた。
これは、一匹の大きなブルドッグの物語。